20年以上続く「NISSAN あ、安部礼司~BEYOND THE AVERAGE~」が紡ぐブランド価値とは
日産自動車株式会社

■INTRODUCTION
日産自動車が20年以上にわたりTOKYO FMで提供を続ける「NISSAN あ、安部礼司~BEYOND THE AVERAGE~」。2025年6月現在、放送回数1000回を超えるこのラジオドラマ番組は、「ごくごく普通のサラリーマン・安部礼司がトレンドの荒波に揉まれる姿と、それでも前向きに生きる姿を描いた勇気と成長のコメディ」として多くのリスナーの心を掴んでいます。
今回のインタビューでは、日本マーケティング本部 ブランド&コミュニケーション戦略部シニアマネージャーの松村眞依子氏に、1000回を超える長寿番組の広告効果と今後の展望を伺いました。
「他がやらぬことをやる」─創業者の精神を受け継ぐ挑戦的な番組づくり

― TOKYO FMで「NISSAN あ、安部礼司~BEYOND THE AVERAGE~」を提供しようと決定したきっかけは何でしょうか。
提供するきっかけとしては、弊社が大事にしている思いがあります。それは創業者の言葉で「他がやらぬことをやる」というチャレンジ精神です。まさに安部礼司の提供は、そのチャレンジ精神から来ているものになっています。
当時、主流ではなかったラジオドラマと音楽という組み合わせで、お客様をワクワクさせる楽しいチャレンジをすることは革新的な試みだったと思いますし、TOKYO FM様のチャレンジ精神と融合したからこそ実現できた番組だと思っています。
― 出稿を通して獲得を狙っていたターゲットについて教えてください。
提供開始当初はまさに主人公「安部礼司」と同じ世代である30代の男性、車を購入する層がメインターゲットでした。現在は、20年という時が流れ、もちろんそのターゲット層も大事にしていますが、自動車をまだよく知らない方や興味をまだ持っていない若年層まで含めて、「安部礼司」という世界観を通じて少しでも日産自動車や自動車業界に興味を持ってもらえたらという思いで展開しています。
嬉しいことに、調査では20年前から聴き始めた方が今も継続して聴いてくださっているだけでなく、毎年新しいリスナーが増えており、特に若年層が多いことがわかっています。SNSを日常的に使う若い方からも「ラジオで『安部礼司』聴いています」と言っていただけることが本当に嬉しいですね。
進化するターゲット層─20年の時を経て広がるリスナー
― 20年を経て、現在の目的と課題はなんですか?
日産自動車は『技術の日産』として『人生をワクワクさせる』というビジョンがあります。特に【電気自動車】と【自動運転】という2つの技術を軸にお客様をワクワクさせたいという思いがあり、それをメッセージとしてお伝えしたいと考えています。
ただし、『安部礼司』の世界観を壊してまでそれを押し出すと、リスナーの方はついてきてくれないので、ブランドメッセージを強引に押し出すのではなく、ドラマの自然な流れの中に溶け込ませるよう心がけています。ターゲット層も変わっていくので、いきなり技術の話からは入らず、まずは興味を引くような視点から入り、『調べてみたらそういう技術のある会社なんだ』と自然に知ってもらえるアプローチを取っています。
また、日曜日の夕方5時というと、サラリーマンの方々は月曜への憂鬱さを感じる時間帯です。そんな時に『安部礼司』の世界で元気になってもらって、その世界観の中で日産自動車のことも知ってもらえるというのは、すごく価値のある機会だと思っています。
― TOKYO FMでの提供を通して、この20年でどのような変化がありましたか。
リスナーの変化としては、20年前に聴き始めてくださった方が今も継続して聴いてくださっていることと、毎年新しいリスナーさんが増えていること、そして新規リスナーには若年層が多いことがわかっています。
さらに最新の調査では、番組リスナーはノンリスナーと比べて日産自動車への好意度がおよそ7倍も高く、次の車を買う時に日産自動車を選ぶ可能性も高いことが明らかになっています。

自動車は高額で長く使うものですから、購入検討時に日産自動車が選択肢に入ることは大変ありがたいことです。
リスナーだけでなく、車を販売するディーラー側にもご協力いただき、店内で番組コンテンツを流していただいていますが、その満足度調査でも、他のどのコンテンツよりもディーラーの満足度が高いことがわかっています。ディーラー店舗での放送が他の店内施策と比較して最も反響が良く、車を販売するスタッフにとっても、モチベーションを高めるコンテンツになっていることは大変嬉しく思っています。

ラジオならではの魅力と、広がるデジタル展開への期待
― 他媒体と比較したときのラジオやTOKYO FMのメリットを教えてください。
リスナーの方々がこれだけ長く番組を聴き続け、また新しいお客様も増えているということは、『安部礼司』というコンテンツが純粋に面白く、癒しを提供できているからだと思います。
なぜこんなに長く愛されているのかというと、ラジオドラマ独特の世界観とトレンドに合った音楽の使い方が絶妙で、没入感のある世界観がお客様の心に響いているからこそだと思っています。この没入感は他のメディアではなかなか得られません。現代では広告は嫌われがちで、スキップ機能があったり、お金を払えば広告を回避できるサービスも増えている中で、物語の中に自然に溶け込んだ形で私たちのメッセージを届けられるというのは、非常に貴重なプラットフォームだと感じています。
また長年一緒に取り組んできたからこそ、TOKYO FM様も私たちの考えを汲み取ってくださり、YouTubeや「安部礼司Z」など新しい取り組みにも協力いただいています。こうした柔軟な対応も大きな魅力です。
― 今後のTOKYO FMに期待することを教えてください。
今後は、ラジオとデジタルの融合に大きな期待を寄せています。『安部礼司』というコンテンツをいかに広く拡散させていくかが重要なポイントだと思いますので、ラジオ単体に留まらず、ポッドキャストやSNS、動画プラットフォームなど、様々なデジタルチャネルを活用して番組コンテンツを多角的に展開していくことで、より多くの方々に届けたいと思っています。

日産自動車株式会社
日本マーケティング本部 ブランド&コミュニケーション戦略部
シニアマネージャー
松村 眞依子様
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