「日本の農畜産物の魅力」は人の声で伝えたい – デジタル社会だからこそ言葉のチカラが大切 “百見は一聞に如かず”

全国農業協同組合連合会


■INTRODUCTION
地域のJAを通じて日本全国の農家へ生産資材を届け、農家が生産する国産農畜産物を生活者へとつないでいる全国農業協同組合連合会(以下、全農)。今回は、全農の広告宣伝やメディア対応を担う広報・調査部 部長の澤田氏に、デジタル化や映像メディア、さらにはAIが席巻する現代において、なぜ同会がラジオという音声メディアを重視しているのかを伺いました。

映像には真似できない「脳に届く体験」

― 現在、TOKYO FMをキー局としたJFN全国ネット番組『ONE MORNING』『あぐりずむ』『JA全農COUNTDOWN JAPAN』に出稿されたきっかけを教えてください。

番組提供を開始した当時、全農は若年層へのアプローチが弱いと言われていました。一般的にAMラジオと比較して聴取年齢層が低いとされるFMラジオ、特に若年層に人気のある番組づくりに関わることで、若い世代に自分たちの存在を知ってもらい、さらにはファンになっていただけるのではないかと考えました。

単に「広告を出す」というアプローチではなく、「国産農畜産物に親しみを持ってもらい、たくさん買い、たくさん食べていただく——そうした好循環をどうすればつくれるか」と考えました。

フォーマットどおりに音声CMを制作し放送すれば、いわゆる広告宣伝にはなります。しかし全農の認知度向上よりも、日本の農畜産物の魅力を伝え、実際に召し上がっていただきたいという思いの発信に重きを置いています。

― なぜ今、ラジオというメディアなのでしょうか。

ラジオは「声」を主体としたメディアです。パーソナリティの言葉を聞いたリスナーは、自身の原体験を重ねながら、頭の中にイメージを描きます。食べ物であれば、見た目の色や形、香り、そして味といったさまざまな要素が脳内に広がるはずです。

これは視覚に訴える映像メディアとは対極にある、受け手の想像力に依拠するラジオならではの表現力だといえます。加えて、リスナーが信頼しているパーソナリティの言葉や声であれば、なおさら説得力が増します。

ラジオ局そのものの信頼性が高いことは前提ですが、パーソナリティ、すなわち「話し手のブランド力」が十分に発揮される環境があれば、私たちの「商品のブランド力」も高めてもらえると考えています。「この人が言っているのだから、おそらく間違いないだろう」と感じてもらえるわけです。ゆえに、百聞は一見に如かずではなく「百見は一聞に如かず」なのです。

こうした音声メディアを軸に、InstagramやYouTubeなどの静止画・動画配信を組み合わせたメディアミックスにも取り組んでいます。音声で想像を膨らませた上で、静止画や動画で具体像を補完することで、より深いイメージ定着を促せると考えています。ただし単純な掛け算ではなく、リスナーの潜在ニーズを洞察し、満足度を高める多角的な仕組みづくりが重要になると確信しています。

公開生放送イベント
「TOKYO FM ホリデースペシャル 遠山・潮のこどもの日だよ全員集合 in JA全農チビリンピック2026」

現場の熱量と掛け算でつくる「地域とのリレーション」

― 番組を通じた取り組みについて、思いをお聞かせください。

半蔵門のスタジオを飛び出し、全国各地で公開放送を行う際には、その地域で育まれた農畜産物をパーソナリティに紹介していただいています。来場された多くの方々がいわば証人となることで、放送現場の臨場感と相まって、パーソナリティの説明の信頼性がさらに高まります。

こうしたリアリティに富んだ放送を積み重ねることで、音声メディアの強みをより一層引き出せる番組づくりをお願いしています。 どの番組にも未知のポテンシャルがあり、新たな価値が生まれる余地があります。音声メディアの中でもラジオ放送は、広く普及したデバイスを通じてリスナーに届く媒体です。この手軽さこそが、その実現を可能にしているのだと考えています。

― 内外からの反響はいかがですか?

ラジオには非常に強い固定ファンがいると実感しています。「COUNTDOWN JAPAN」の公開放送・収録では、遠山さんや潮さんの熱心なファンが足を運び、温かく見守ってくださっています。その姿から強い絆を感じます。

こうした絆を大切にしながら、新たなつながりを築く場を創出していくことも、私たちの役目だと感じています。「あぐりずむ」の収録取材でも、川瀬良子さんの人気は非常に高く、「ニッポンの農業を応援する」存在としていつも歓迎されています。その結果、取材を深めることができ、番組のコンテンツの充実にもつながっています。川瀬さんの力には感服するばかりです。

心理的距離が近い「音声メディア」

― 最後に、今後TOKYO FMに期待することを教えてください。

先ほども申し上げた通り、YouTubeと連動した特別番組など、新たな取り組みをお願いしてきましたが、ようやく実現し、深く感謝しています。

マルチメディアという言葉が普及したのは40年以上前ですが、当時と比べると双方向通信の技術やインフラは劇的に進化しました。伝達ルートが放送から通信へと変わっただけで、音楽やゲーム、映像といったコンテンツそのものは本質的に大きく変わっていないと感じます。

一方で決定的な違いは、通信が持つ1対1の特性により、個々の属性(登録情報が正確であれば)に応じて、その人のニーズに最適化されたコンテンツを効率的に届けられるようになった点です。かつては属性が曖昧で、手段も似通っていたため、放送のような1対多のメディアが主流でした。

そしてラジオ。ラジオは典型的な1対多のメディアです。細分化された属性や小さな集団に対して共通の価値観を見出し、その価値観に合致するコンテンツをどう創り、どう届けるかが重要になると考えています。

共通の価値観を持つ集団をファン化し、同時に普遍性も追求しながら規模を拡大できれば、ラジオはその真価を大いに発揮するはずです。 いつも多くのお願いをしており恐縮ですが、効率や利便性だけでなく、クリエイティブ要素も十分に取り入れながら、私たちの提案に耳を傾け、番組として具現化してくださるTOKYO FMの皆さまに感謝しています。これこそが「共創メディア」の姿だと思います。今後もともに「あるべき姿」を模索し続けていければ幸いです。

全国農業協同組合連合会
広報・調査部 部長
澤田 洋志 様


音声CMについて詳しく知りたい方はこちら